犬の訓練士として、警察犬の訓練と業務にも携わる碇ブリーダー。子どものころから犬が大好きで、「犬は動く芸術品だと思います」と顔をほころばせます。

事務局　ブリーディングはいつから携わってらっしゃいますか?
碇ブリーダー　20年以上前からですね。ゴールデンレトリバーを中心に、シェパードもブリーディングしています。

事務局　警察犬の育成に関わってらっしゃると伺いました。
碇ブリーダー　はい、家庭犬のブリーディングや訓練とともに、警察犬の訓練と業務を行っています。学生のころから、将来は犬の訓練士になりたいと思い、警察犬訓練学校に住み込みで入学しました。それからはずっと、犬との共同生活です。家庭犬と警察犬、両方の訓練に携わりながら、数十年修行して独立しました。

事務局　犬の訓練について、特に意識していることはどんなことですか?
碇ブリーダー　警察犬も家庭犬も訓練の基礎は同じ。警察犬の訓練は高度な技術が必要ですが、基本は「犬との共同作業」だと思っています。人間の言うことを聞かせないといけない場面もありますが、犬は人間の友達であり、一緒に何かを行っているということを大事にしたいと思っています。

事務局　訓練士の魅力はどんなところですか?
碇ブリーダー　私は、毎日「動く芸術品を作っている」と思っています。それ相応のスキルも必要ですし、何より犬に対する愛情が非常に重視される仕事です。でも、昨日教えた子が今日できるようになったり、褒めるともっと頑張ってくれたり、毎日犬の変化を見ることができる幸せな職業だと思っています。日々変化があるので、つまらないと思ったことがないですね。

事務局　家庭でできる訓練のコツはありますか?
碇ブリーダー　いろいろなやり方がありますが、私は、成功した時にオーバーリアクションで褒めてあげることが一番大事だと思っています。それから、失敗した時は怒らず、無視すること。犬は、褒められるのはうれしいですが、怒られると、何に対して怒られているのか分からず、ただ恐怖だけを覚えてしまうんです。何度も教えて、とにかく褒めるのが、成功への近道です。犬はとっても素直で正直。食事をもらえるからなつく、なんて単純な生き物ではありません。芯から信用されて、お互いにいいパートナーになってほしいですね。

事務局　心がけていることはありますか?
碇ブリーダー　ラインブリードは大事にしていますね。2008～2010年と2013年、2015年に日本警察犬協会の審査会でチャンピオンになりましたが、この評価もラインにこだわったブリードのおかげだと思っています。うちの犬は、容姿も性格も評価されています。うちで生まれた子が、警察犬に受かったり、いい子を産んでいるというような話を耳にできるのは、とても有難いことですね。犬は私にとって、息子や娘のような存在。私も犬のように素直な心で、犬たちと接したいと思っています。それが、犬も人間も幸せになる道じゃないかな、と思うんですよね。

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