犬の血統書とは

血統書が作られるようになった理由

犬の血統書とは何か、歴史からみてみましょう。
現在、JKC(日本のケネルクラブ)が公認している犬種の数は約200、FCI(国際畜犬連盟)で約350種の犬種を認めていますが、世界中あらゆる地域の犬種を含めると700~800種類の犬がいるといわれています。

19世紀のはじめごろ、それぞれの犬の特徴を明文化して、血統情報を管理しようという発想が生まれました。

そうして作られたのが血統書です。

血統書は戸籍謄本!?

JKCの血統証明書を見ると、本犬、両親、祖父・祖母、曾祖父・曾祖母と3代前までの情報が記載されています。(※3代祖以上の情報が載っているものもあります。)
私たちのいわゆる「戸籍謄本」にあたるものといっていいでしょう。

本犬から3代前の祖先まですべてが、同一の犬種であるということが証明されるものです。

血統書はいつ使う?

見方を知ると、読むのが楽しい血統書ですが、さて、いつ使うのかというとその機会は少なく、交配時やドッグショーなどに参加するときとなります。

つまり必要なのは、繁殖者か、ショー出場を目指しているときであり、愛犬をペットとして飼育している一般の飼い主さんに使う場面はないのかもしれません。

犬の血統書の見方

犬の血統書

血統書に書かれている主な情報

まずは本犬の名前です。繁殖者が登録したフルネームが英語で記されています。
名前に犬舎名(またはブリーダーの姓名)がついたものが、正式名です。(現在の愛犬の名前が記載されているというわけではありません)

さらに、犬種名、性別、毛色、生年月日、繁殖者名、所有者名。そのほかに、血統書発行団体への登録日と登録番号、DNA登録番号、マイクロチップのID番号など、細かな情報が記載されています。

繁殖者【ブリーダー】の情報がわかる

血統書に記載されている繁殖者とは、その犬を繁殖し、育てたブリーダーのことです。ペットショップなどでお迎えし、「どんな人が愛犬を育ててくれたのかわからない……」という場合でも、ブリーダーの名前をインターネットなどで検索することで、繁殖した人を見つけられるかもしれません。

子犬お迎えサイト『みんなのブリーダー』では、以下のような情報が見れるほか、サイト内で出産予定の問い合わせができます。

「今いる愛犬と同じブリーダーさんから、2頭目を迎えたい!」「愛犬と血のつながりのある子を探したい」という方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

【みんなのブリーダーで確認できる情報】
  • 犬舎紹介文
  • 取り扱い犬種
  • 犬舎所在地
  • 犬舎見学についてのご案内
  • 犬舎の口コミ・評価

『みんなのブリーダー』でブリーダーを検索してみる

またJKCでは、「股関節評価」と「肘関節評価」というものも記載しています。

血統については、本犬と、両親から曾祖父母までのそれぞれの3代前までの情報が記されています。さらにJKCでは希望者には4代祖血統証明書も発行しています。

本犬と一緒に生まれたきょうだいがいれば、オスメスごとに数字が記載されます。

犬種記号の記載

犬種記号とはJKCの血統書に記載されている、犬種ごとに振り分けられた固有の記号です。たとえばポメラニアンはPO、ビーグルはBEというようにつけられています。ダックスフンドとプードルは、以下のようにサイズごとに区別されています。

ダックスフンド
  • スタンダード・ダックスフンド:DH
  • ミニチュア・ダックスフンド:DHM
  • カニーンヘン・ダックスフンド:DHK


プードル
  • スタンダード・プードル:PS
  • ミディアム・プードル:PMD
  • ミニチュア・プードル:PM
  • トイ・プードル:PT

人気犬種の犬種記号一覧

人気犬種20種の犬種記号をご紹介します。

  • トイプードル:PT
  • チワワ:CI
  • ミニチュアダックスフンド:DHM
  • ポメラニアン:PO
  • ミニチュアシュナウザー:MS
  • フレンチブルドッグ:FB
  • マルチーズ:ML
  • ヨークシャーテリア:YT
  • 柴:JS
  • シーズー:SZ
  • ゴールデンレトリバー:RG
  • パグ:PG
  • ラブラドールレトリバー:LR
  • ウェルシュコーギーペンブローク:WP
  • パピヨン:PP
  • ビションフリーゼ:BFR
  • ジャックラッセルテリア:JR
  • ボーダーコリー:BCL
  • ペキニーズ:PK
  • イタリアングレーハウンド:IGH

チャンピオン、称号の記載がある場合も

血統書発行団体公認のドッグショーやアジリティ大会などでチャンピオンになった場合は、名前のところに略号で記載されます。

  • CH(〇〇): チャンピオン
    ()のなかはチャンピオンを取得した大会の開催国、称号を取得した日付も記載されます
  • INT.CH.:インターナショナルビューティーチャンピオン
  • INT.W.CH.:インターナショナルワーキングチャンピオン
  • INT.AG.CH.:インターナショナルアジリティチャンピオン
  • AG.CH.:アジリティチャンピオン

犬の血統書はどこで発行される?

発行方法、再発行方法

通常、血統書の発行はブリーダーがおこないます。

JKCでは、血統書に記載されている所有者のみ再発行を申請することができます。血統書の再発行をしたい場合は、所有者名に記載されているブリーダーに問い合わせてみるとよいでしょう。

母犬の登録

生まれた子犬の登録は母犬の所有者がおこないますが、父犬のデータも必要です。団体によっては父親のDNA登録を求められます。

名義変更

血統書付きの犬を迎えた場合は、団体から発行された血統証明書を受け取った犬の所有者から、新しい飼い主さんのもとへ送られてきます。
名義変更をおこなわない限り、子犬の所有者は書面上親犬の所有者のままになっています。

では、名義変更をおこなうべきかというと、血統書が必要になるのは繁殖をおこなうときとショーに出場するときのみですので、ほとんどの飼い主さんがそのままの状態で保管しているようです。

犬の血統書発行団体

日本国内にいる純血種犬の血統書の多くは、JKC発行のものです。
そのほかには犬種ごとのクラブ、JCC(日本コリークラブ)やPD(日本警察犬協会)などもそれぞれで血統を管理し、証明書を発行しています。

血統書の注意点

血統書は犬の優劣をつけるものではなく、犬の血統を表すものです。
血統書付きの犬が健康で優秀、賢い犬というわけではありません。

お迎えする子犬がどんな子であれ、愛情をもって育てることがなによりも大切。愛犬の健康を保てるのも、心が成熟した子に育つかどうかも、飼い主さんの心がけ次第です。

迎えた子が健やかに成長できるよう、しっかりと環境を整えてあげましょう。

まとめ

健康や優秀さを証明するものではなく、一般的な飼い主であればとくに必要にせまられることのない血統書ですが、親の素性がわかるというメリットはあります。
両親犬の名前を入力することできょうだい・親戚探しができるサイトもありますので、血統書は引き出しの奥深くに眠らせたままという方は、愛犬のルーツを調べてみるのも楽しいかもしれません。